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2024年から義務化される認知症介護基礎研修とは?

更新日2023.10.13

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2021年4月の介護報酬改定に伴い、認知症ケアに従事する無資格の介護職員に対して、認知症介護基礎研修の履修が義務化となることが決定いたしました。2024年3月末までは、未受講のままでも介護職員として業務に携わることができますが、2024年4月以降は、認知症介護基礎研修を受講しなければ、介護業務に従事することができなくなります。

ここでは、認知症介護基礎研修について詳しく説明しています。

目次
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認知症介護基礎研修とは?
認知症患者の介護に必要な知識やケア方法を学ぶための研修プログラムのこと
認知症介護基礎研修とは?

認知症介護基礎研修は、資格を持たない介護従事者に対して受講を義務付けるもので、2024年4月までに全ての介護従事者が認知症介護基礎研修を修了する必要があります。

認知症介護基礎研修は、介護の基礎から応用までを学べる介護職員初任者研修とは異なり、認知症の方に介護をする際に必要な基礎知識を学ぶための研修になります。

■ 義務化の背景

義務化の背景

日本では、85歳以上の高齢者の約40%以上が認知症の症状を示すと言われており、高齢化の進行と並行して認知症患者の数が今後増加していくと言われております。認知症の方やその家族に尊厳ある生活を送ってもらうためには、介護現場で正しい知識を持ち、適切なサポートを行うことが非常に重要です。

認知症の理解が不足している介護職員が多い介護現場では、サービスの品質に悪影響を及ぼすことが予想されます。この問題を解決しサービスの向上を図るために、導入された研修制度が認知症介護研修制度です。

■ 研修を受けるには?

研修を受けるには?

認知症介護基礎研修は、認知症ケアに必要な知識を提供するため、研修時間を計6時間と短めに設定されておりましたが、2021年からは、すべての研修がeラーニング形式に移行し、より多くの介護職員が受講しやすい仕組みとなりました。

研修の費用は自治体により異なりますが、東京都(八王子市以外)などは、3,000円程度で受講が可能です。一方、東京都八王子市のように、1,000円で受講できる自治体もあります。

■ 研修を受けないとどうなる?

経過措置終了後の2024年4月以降で研修を受けない場合は、各事業者へ向けて行政から指導や処分を受ける可能性があるため注意が必要です。

2021年度の省令改正では以下のように定められております。

介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、介護に直接携わる職員が認知症介護基礎研修を受講するための措置を義務づける。

引用:令和3年度介護報酬改定の主な事項について|厚生労働省

上記のように、対象となる従業員に研修を受講させない行為は、運営基準に違反することになります。ただし行政処分がすぐに科されるわけではなく、指導が最初に行われることが一般的です。認知症基礎研修の無資格介護職員への受講を義務付けるため、介護施設や事業所ではこの義務を履行するための体制整備が求められます。

認知症介護基礎研修eラーニングについて

■ 受講資格と除外条件について

認知症介護基礎研修の受講資格と、義務除外条件は以下の通りです。

【認知症介護基礎研修の研修対象者と免除となる資格】
研修対象者 免除となる資格 その他で免除となるケース
介護に直接携わる職員のうち、右記の資格を持たない者
  • 看護師、准看護師
  • 介護福祉士
  • 介護支援専門員
  • 実務者研修修了者
  • 介護職員初任者研修修了者
  • 生活援助従事者研修修了者
  • 介護職員基礎研修課程修了者
  • 訪問介護員養成研修一級課程・二級課程
  • 社会福祉士
  • 医師・歯科医師
  • 薬剤師
  • 理学療法士
  • 作業療法士・言語聴覚士
  • 精神保健福祉士
  • 管理栄養士・栄養士
  • あん摩マッサージ師
  • はり師、きゅう師

など

  • 人員配置基準で算定対象でない職員
  • 直接介護にかかわらない職員

参考:認知症介護基礎研修に関するよくあるご質問|東京都福祉保健局

■ カリキュラムの内容

認知症介護基礎研修のカリキュラムは以下のとおりです。

【認知症介護基礎研修の研修対象者と免除となる資格】
認知症の人を取り巻く現状

・認知症施策の概要(認知症施策推進大綱)

具体的なケアを提供する時の判断基準となる考え方

・基礎となる理念や考え方

・尊厳の保持、偏見や誤解の解消

・日常生活・社会生活における意思決定支援とは

認知症の人を理解するために必要な基礎的知識

・認知症の症状と生活や心理への影響

・症状出現に影響する要因

認知症ケアの基礎的技術に関する知識と実践上の留意点

・チームケアの観点を含めた基礎的な認知症ケアの方法

・家族介護者への支援方法

引用:認知症介護基礎研修 eラーニング|令和2年度老人保健健康増進等事業

上記よりeラーニングは以下の5つの章で構成されております。

序章.認知症の人を取り巻く現状(動画時間:10分程度)

Ⅰ.認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方(動画時間:25分程度)※
Ⅱ.認知症の定義と原因疾患(動画時間:20分程度)※
Ⅲ.認知症の中核症状と行動・心理症状の理解(動画時間:30分程度)※
Ⅳ.認知症ケアの基礎技術(動画時間:60分程度)※

※動画視聴後、確認テストがあります。

カリキュラムの内容

総合的な視聴時間は約150分です。認知症の種類ごとの症状や実際の事例に基づいた認知症ケアの方法などが学べます。確認テストの受講に加え、個人差により自主学習時間が必要となることから、研修完了までの所要時間はそれぞれ異なります。

■ 登録から修了証の受け取りまでのステップ

認知症介護基礎研修の登録から修了証の受け取りまでのステップは、以下のとおりです。

ステップ1 事業所登録
ステップ2 受講申請
  • 受講者が「認知症介護基礎研修eラーニングシステム」のサイトから受講申請を行う。
  • メールアドレスを登録した後、本登録画面で氏名や生年月日、事業者コードなど必要情報を入力。
  • 受講IDを取得する。
ステップ3 受講料の支払い
  • 事業者が指定の方法で受講料の支払いを行う。
    ※支払い方法は地方自治体や実施団体により異なる。
ステップ4 研修の受講
ステップ5 修了証書の発行
  • すべての確認テストに合格したら、修了証書をダウンロードする。

参考:認知症介護基礎研修 eラーニング|福島県庁

■ 受講のタイミング

受講のタイミング

認知症介護基礎研修は、eラーニング形式で提供されているため、基本的にいつでも受講が可能です。ただし実施地域や実施団体により開催日程と費用が異なります。

一部の自治体では、年度ごとに申し込みの締め切りが設けられているところもあります。詳細情報については、受講を希望する地方自治体や実施団体の案内をご確認ください。

まとめ
まとめ

認知症介護基礎研修の受講は、認知症患者に適切なケアを提供するための基礎知識を獲得するだけでなく、認知症患者の身体と心の状態を理解し、虐待を防ぐためにも非常に重要です。また介護職員のスキル向上にも貢献できるため、2024年4月以降の完全義務化となる前に、早めに受講をスケジュールしておくようにしましょう。

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