一般的には、混合介護と呼ばれておりますが「選択的介護」と表現される場合もあります。
また、この混合介護は法令用語ではなく、医療分野における混合診療(保険診療と保険外診療を組み合わせた医療用語)からヒントを得て使われている用語になります。
介護サービスには、利用者が費用の1割負担で利用できる介護保険サービスと、全額自己負担で利用する介護保険外サービスに分けられます。
※介護保険の詳しい説明はこちらを参照
現行の介護保険制度では、介護保険サービスと介護保険外サービスが明確に分けられており、混合介護を利用する場合には、利用者と事業者の間でサービス内容の同意が得られることが必要でした。
しかし厚生労働省は、2018年4月に混合介護のルールを明確化する方針を明らかにしております。
利用者やその家族の利便性を高めるために、通所介護と訪問介護における混合介護の具体的な認可基準の内容は以下の通りです。
介護サービスの提供は、サービスを利用する高齢者の視点に立ち、ニーズに見合うサービスが効率的に提供されていることが重要です。
など
など
利用者が受けられるサービスは、保険内外で内容が異なります。
保険内は、介護を受ける利用者を対象としておりますが、保険外は利用者以外を対象としております。
訪問介護については、利用者とその家族の分の調理、洗濯をまとめて行うなど、訪問介護と保険適用外サービスを同時に行うことを現状認めない方針が明らかにされております。
今後の介護サービスにおいては、より大胆な規制緩和が必要であるとの意見も強く、柔軟な対応が求められております。
混合介護は、保険内のサービスを利用しながら、保険外のサービスを利用ことができるため、利用者とその家族の介護にかかる負担を軽減することができます。
► 通所介護における主な保険外サービス
事業者にとっては、サービス提供の幅が増え、利益の増額が見込めると同時に、介護職員の収入などの待遇改善にもつながり、介護職員数の増加が期待できます。
全額自己負担となる保険外サービスは、介護保険サービスに比べて高額になります。
利用者の経済状況により、その負担が大きく左右されます。
介護サービスに大きな格差が広がる恐れもあり、社会福祉の理念や公平性を損なう恐れがあります。
保険外サービスの拡充により、保険内サービスとの組み合わせが、自立支援や重度化防止の妨げになる恐れがあります。
介護者がすべてを代行することは、必ずしも利用者本人のためになるとは限りません。
自分で体を動かそうという意思・気力を利用者から失わせてしまう場合もあるため、適度な支援をしながら、利用者と一緒に行う方が良いのかもしれません。
混合介護は、介護サービスの選択肢を広げ、高齢者の立場からすれば、窮屈な状況から解放されるため、大きなプラス効果があるといえます。
しかし、混合介護を利用することは、本来の介護目的でもある「高齢者のQOLを高め、QOLのさらなる向上に貢献すること」を損なうことにも繋がりかねません。
※QOL…人生の内容の質や社会的にみた生活の質のこと
今後の混合介護の拡大に向け、厚生労働省では現在「新ルール」を作成中で、2018年の夏に明確な方針をまとめて全国の自治体に通知する予定です。
混合介護は高齢者だけでなく、まわりの家族や事業所にとっても、必要不可欠のサービスになっていくでしょう。